彼女の名はサビーヌ(8/22〜)
「仕立て屋の恋」のサンドリーヌ・ボヌールの妹サビーヌは、自閉症という適切な診断を下されることなく精神病院に入る。5年後退院したときには、薬の副作用で30キロ太り、動作も思考も鈍くなり、極度の人間不信に陥っていた。障害者と看護人が対等の立場で過ごせるグループホームに預けられると、精神的には安定したが、5年の間に失われたものはあまりにも多かった・・・
映画は、現在のサビーヌの暮らしに、入院前のサビーヌのホームビデオ映像を差し挟む手法で進みます。若い頃のサビーヌと、現在のサビーヌがカットバックする場面などは、ついあざとさを感じてしまったりもするんですが、昔のサビーヌの美しく生き生きした様子と、焦点の定まらない目をした現在が違いすぎるので、監督が何気なくした編集にも、見る側が必要以上に意味を読み取ってしまうのかもしれません。
「へえ〜」と思ったのは、ホーム入居者の親や、看護人が語るフランスの障害者支援の現状。ヨーロッパだから進んでるんだろうな、という逆偏見があったのですが、日本の方が制度としては整ってるかも、内容はともかく。つい最近までサビーヌに適切な診断が下っていなかったというのにも驚きました。みんなと違う人をすぐに異化・分別したがる日本と違って、超個人主義の国・フランスでは、障害も個性のひとつと見なされて、支援という考えが起きにくいのでしょうか・・・。
出演している看護人に美男美女が多いのは偶然か、という下世話な点も気になりつつ。
サンドリーヌは偽善的と批判もされたようですが、何もしない正直者より行動する偽善者の方が価値は高い! 7月に上映された「ベルサイユの子」と同じく、フランスの今をかいま見せてくれる映画です。
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