2009年11月12日木曜日

「CLEAN」

2004年のカンヌ映画祭でマギー・チャンに主演女優賞をもたらした本作。なぜか未公開のままでしたが、KAVCでは今秋公開です。


何はなくともエミリーを演じるマギーの魅力で、画面から目が離せません。夫と共にドラッグに溺れ、5才になる息子は義父母に預けたまま放埒な生活を送る(って、最近似たような話をニュースで聞いた気が)エミリーは普通の感覚では最低な女ですが、マギーが演じると人間的な脆さが先に立って、どうしても憎めないんですよね。


ロックミュージシャンの夫をオーバードーズで亡くしたダメージと、自身もドラッグ使用の罪で収監され、社会的制裁を受けたことで、もう一度人生をやり直そう、とかつて住んでいたパリに行くエミリー。ここで旧友たちの助けを得ながら、離れて暮らす息子ともう一度会う算段をつけようとするんですが・・・


個人的な見どころは息子ジェイをめぐるあれこれよりも、エミリーと旧友たちとのやりとり。フランス人って情に厚いイメージはまったくないんですが(失礼!)、住む家がないとなれば手を差し伸べたり、禁断症状に苦しんでいれば代用薬を手に入れてくれたり、しかもそれをさらりとしてしまう。いい人ばかりだ。

わたしが旅先で知り合った何人かのフランス人は、いい人とそうでない人の落差が激しくて、それはどの国民でも一緒なのかもしれないけど、平均ということばが似合わない人たちだなあ、と思っていました。実際のところはどうなんだろう。


それから、エミリーが訪れる何軒かのパリのアパルトマンが、それぞれにおもむきが違ってとっても素敵です。広い前庭のある一軒家ふう、ちょっと冷たい感じのするデザイナーズ、洗練されたエスニック調。パリに住みたくなります。同じアサイヤス監督の「夏時間の庭」でも「家」が重要な役割を果たしてましたが、何かこだわりがあるのかもしれないですね。


ストーリーとは全然関係ないところで興奮してしまいましたが、もちろん1人の女性の再生というテーマでも見応えがあります。

お楽しみに!

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